2015年12月17日

NY6日目:メトロポリタン美術館 19・20世紀初期絵画2

2015年10月7日(水) メトロポリタン美術館 19・20世紀初期ヨーロッパ絵画・彫刻2

19世紀・20世紀初期ヨーロッパ絵画・彫刻の続きです。


1.JPG

次はセザンヌの絵がずらり。私は静物画はあまり興味がなくて、人物画の方が好きです。
左の「椅子に座った農夫」も良かったのですが、疲れていたので少し見る程度でした。


2.JPG

じっと見たのは、「僧侶としてのドミニク叔父の肖像」。

これは、1866年に描かれたので、初期の作品です。
印象派の時代よりも前なので輪郭も力強いです。


3.JPG

セザンヌお馴染みの「サント・ヴィクトワール山」。エクサン・プロヴァンスにある山です。
これはもう20世紀に入ってから。筆のタッチが大胆ですね。


4.JPG

ひび割れの家」。エクサン・プロヴァンス郊外の風景ですね。


5.JPG

まだまだセザンヌの絵がいっぱい!セザンヌ夫人の肖像画もありました。


6.JPG

こちらは「カード遊びをする人々」。全部で5枚描かれたうちのおそらく最初の1枚だとか。

色合いが素敵で、カード遊びをする人達の服装がパリッとしていると思ったのですが、
この人達は全員が農民だそうな。フランスの農民というのはこんなにお洒落なんでしょうか。

セザンヌはその後、どんどん無駄を省いて最後の3枚はたった2人の農民で同じ絵を
描いていますが、おそらくそちらの方が有名なんじゃないでしょうか。(パリに絵があるし。)

とても日常的な淡々とした風俗画で気に入りました。


7.JPG

これまた「ドミニク叔父の肖像」。1866年に何枚もこの叔父さんの絵を描いたとか。


8.JPG

壺、カップと林檎のある静物」。セザンヌとしてばやはり静物画

これは1877年の絵ですが、1870年代はセザンヌは静物画を多く描いたとか。

この絵の中央の白い布は、ガイドブックの説明によると、セザンヌ地元のサント・ヴィクトワール山
逆さにして表したものだということです。ホンマか?

でも、セザンヌの静物画って何かビシッとしてない感じがします。
超絶技巧の本物ソックリ画じゃないからかな。この絵も何か歪んでる気がするし。
でもまあ、セザンヌが目指したのは写実主義じゃなくその先の何かなんですね。分からんけど。

セザンヌが特に大好きというわけでもなかったのに、結構色々見てしまいました。(^^;


9.JPG

再びルノワール出現。「ジョルジュ・シャンパンティエ夫人と子供たち」。
当時の上流階級の幸せな日常が分かる作品ですね。やっぱりルノワールらしい。

夫人は当時流行のデザイナーの服を着ているのだそうで、ココ・シャネルが毛嫌いしそう。(笑)
ビックリしたのは、真ん中の子供は息子のポールだそうな。かこれー!?

ガイドブックには、

当時の流行に従い、3歳になる息子ポールはまだ髪を切られておらず・・・

とあります。パリも色んな流行があったのですね。


10.JPG

こちらも言わずもがなルノワールの「海辺に座る女」。

これは、ルノワールの未来の奥様をモデルに描いたとか。
よく見ると、顔だけタッチが違って印象派のベタ塗り(素人ですいません)ではないような気が。

うーん、セザンヌの描く農夫とは別世界です。


11.JPG

ガラッと毛色の違う部屋に来ました。おそらく世紀末ウィーンの美術を集めた部屋。
こちらはウィーン工房ヨーゼフ・ホフマンとその生徒だったカール・クラウスの花瓶。


12.JPG

クリムトの「メーダ・プリマヴェージの肖像」。

メーダの父はウィーン工房のパトロンだった銀行家で、お嬢様の気の強さが出ている気が。
ガイドブックには9歳の少女のはつらつさ・・・とありますが、いや、気の強さやな。(^^;

この絵は金箔が使われていないので初期の作品なのかと思ったら1912年の作でした。
晩年のクリムトは、初期の作風に回帰していったとか。


13.JPG

同じくクリムトの「セレナ・ピュリッツァー・レーデラの肖像
私が持っているクリムトの画集では「純白の婦人」と紹介されていました。

先ほどの少女とは打って変わって優しい表情の女性が。
クリムトが女性を描くと本当にキレイですね。感動。


14.JPG

ここからはまたピカソで、これは役者」。立ち姿の猫背がいい感じ~!

しかし、この頭の小ささ細すぎる手足って、現実にあり得るのでしょうか。

と思ったら、やっぱり説明のところに、「痩せ細った体と極端な手の動きが、エル・グレコに
インスパイアされた青の時代のマニエリスムを思い起こさせる。」とありました。やっぱりそうか。

余談ですが、この絵は2010年に一般客が転倒した際に15センチほど破れたそうですが、
私が見た時は修復されていて全く分かりませんでした。(当たり前か。)

やはり、絵を見る時は細心の注意を払わねば。


15.JPG

同じくピカソで「白い服の女」。

これは1923年の作でキュビズムの後の新古典主義の時代です。
結婚して子供も生まれて、この時期はピカソも落ち着いていたのかなーなんて想像しちゃいます。


16.JPG

これもピカソ髪結い」。

顔に表情がないし省略されてるし、手鏡には何も映ってないし、無機質です。

英文の説明によると、この絵ではエロチシズムを抑えて描いており、
ダヴィンチの絵「聖アンナと聖母子」の対位法的変化だとか何とか。難しいっ!

聖性を表すためのこの無機質さなのでしょうか。

ちなみにこれは1906年の作品で、次の1907年にはあのキュビズムの衝撃作
アヴィニョンの娘たち」を制作しているので、その過渡期的な感じなのかも。

ただ、キュビズムへのあの変化はビックリしますね。(笑)

19世紀・20世紀初期ヨーロッパ絵画・彫刻はあともう少しだけ続きます。



posted by サラミ at 21:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 15ニューヨーク | 更新情報をチェックする

2015年12月16日

NY6日目:メトロポリタン美術館 19・20世紀初期絵画1

2015年10月7日(水) メトロポリタン美術館 19・20世紀初期ヨーロッパ絵画・彫刻1

もうすでにお腹いっぱいな感じですが、最後の力を振り絞って、
19世紀・20世紀初期ヨーロッパ絵画・彫刻のエリアにやってきました。


1.JPG

まず、マネの「死せるキリストと天使たち」が目に入りました。

真正面から死んだキリストに見つめられる構図なのでギョッとします。
おそらく、見慣れた宗教画よりも生々しいのでギョッとしたのだと思います。

この絵を見て、マンテーニャの「死せるキリスト」という絵を思い出したのですが、
あれは完全に横たわっているのでこちらを向いていません。

この絵は、キリストの胸の傷の位置が左右逆であることや、聖なるキリストをリアルに
(つまり人間ぽく)描いたことなどからバッシングを受けまくったとか。

ボードレールから胸の傷が逆だと中傷されながらも、マネは最後まで修正しなかったらしい。
絵がすごかったら傷の位置なんて気にしないけど・・・と思うのは私が日本人だからでしょうね。


2.JPG

ルノワールの「カツレ・メンデスの娘、ハグヘッテ、クラウディーヌ、ヘリョーネ」。
堂々とこんな感じで展示されていました。ガイドブックでよく紹介されている絵です。

しかし私はルノワールの絵がそれほど好きではない、というか苦手です。
そもそも、少女達の顔色が過ぎる。貧血やないかい!と突っ込みたくなります。

ついでに言うなら、現地で購入した「メトロポリタン美術館ガイド 日本語版」では、
この絵は紹介されていませんでした。

必見作品」というのは、一体どんな基準で紹介しているんでしょうかね。


3.JPG

まだまだ続くルノワールの甘い作品群。
左の絵を見てもうビックリです。ルノワールは男を描いてもこうなるのか。


4.JPG

同じくルノワールの「Reclining Nude」。
アングルの「グランド・オダリスク」という絵へのオマージュだとか。

ただし、高級娼婦の女性は少女になっているし、場所も屋外で怪しい雰囲気はありません。
ルノワールって後期になると裸婦の絵も結構あるのですね。しかし赤毛も好きですな。


5.JPG

こちらはモネの「サンタドレスのテラス」。2つの旗と赤い色に目がいきました。
モネにしてはえらく輪郭がクッキリしてるなあ、と思いました。(感想が単純すぎる・・・。)

この絵はおそらくモネが所有していた北斎の版画から発想を得ただろうと
ガイドブックに書いてありました。

私はモネもあまり得意でなくて、他にも「睡蓮」とかいっぱいあったのですが、
ほとんどチラ見で終わった中、これだけは立ち止まって見ました。


6.JPG

次はゴーギャンの「Still Life with Teapot and Fruit」。

ゴーギャンがこんな静物画も描いているとは知りませんでした。
説明によると、ゴーギャンが所有していたセザンヌの静物画を模写したとか。

ただし、リンゴの代わりにマンゴーを置き、タヒチ風の柄物のクロスを描いたのが
何ともゴーギャンらしい。


7.JPG

同じくゴーギャンの「シエスタ(昼寝)」。ものすごく構図が面白いです。

昼寝とはいえ、何てことのない女性の井戸端会議的な風景だと思うのですが、
ゴーギャンはこの光景にえらく心惹かれたようですね。

手前の女性のスカートの色を変えたり、描いていた犬をカゴに置き換えたり、と
あちこち変えて随分と時間をかけて完成させた作品だそうな。


8.JPG

これまたゴーギャン2人の女性」。


9.JPG

ひたすらゴーギャンが続きます。「3人のタヒチの女性」。(タヒチ女という言い方は嫌いです。)

よっぽどヨーロッパ的でない色合いや日差しなどが好きだったのでしょうか。
色もグラデーションとかなくてハッキリしているし、独特です。

それにしても、ゴーギャン白人でない女性が好きだったのでしょうか。

彼の伝記を読むと、タヒチで13~14歳の少女を何人か妊娠させていて(妻となっていますが)、
ちょっとその感覚にはドン引きしてしまいますが、当時の価値観はそんなものだったのかも。


10.JPG

ここで突然のマティス。「Odalisque with Gray Trousers」。
1927年の作品なので結構最近です。

題名にある「オダリスク」とは、オスマン帝国(トルコ)のハーレムに仕える女奴隷だとか。
マティスは作り物でないヌードを描きたくてわざわざオダリスクを描いたのだそうな。


11.JPG

ゴッホの部屋に来ました。


12.JPG

筆遣いがいかにもゴッホ。

素人の考えですが、ゴッホって絵の具の減りも早かったでしょうね。
確か、弟の援助で高価な絵の具を使っていたと思いますが。


13.jpg

こちらはゴッホの「子守唄、ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人」。

先ほどロバート・リーマン・コレクションのところで見たゴッホの赤ちゃんの絵は、
この女性の子供です。あの絵の中では女性の顔は省略されていましたが、これは主役。

赤と緑の平面的な色のキレイなことと、後ろの壁紙(?)の花柄の斬新さが目を引きました。

同じタイトルの絵があと4枚あるとかで、ネットで見比べてみると、それぞれ同じ絵なのに、
後ろの壁紙の色や花が違っていて面白いです。

ゴッホは日本画が好きだったので、この絵も影響があるのでしょうね。

しかし、説明には、ゴッホはこの絵をアルルで例の耳を切り落とす事件の直前に描いたとあり、
この頃の彼はどういう精神状態だったのだろう、と思わずにはいられませんでした。


14.JPG

同じくゴッホの「オリーブ摘み」。3人の女性がせっせとオリーブを摘んでいます。


15.JPG

ゴッホの「糸杉のある麦畑」。

またしても渦巻くような空がすごい。実際にプロヴァンスに旅行に行ったら、
とても深く青い空の色でしたが、ゴッホはあの空をこういう風に表現したかったのですね。

糸杉の木の緑色も、実際の絵はとてもキレイな緑色でした。


16.JPG

ゴッホの「オリーブの木」。ゴッホって点描もやっていたのですね。なんか点が大きくてカワイイ。


17.JPG

ゴッホが終わって今度はロートレックの「The Streetwalker」という作品。

私は勝手に、これは軍服か制服を着ている少年かと思い込んでいました。
帽子が大昔のドイツ軍のヘルメットみたいだったので。(笑)

しかし、説明を読むと女性だとあります。改めて顔を見るとなるほどと思いましたが、
この帽子がウィッグだと書いてあったのには驚きました。これ、どんな頭だったのでしょう?

と、大好きなロートレックの絵なのにヘンなところにばかり気を取られてしまいました。


18.JPG

ここでピカソが1点。「At the Lapin Agile」。

これは、モンマルトルのキャバレー、ラパン・アジルの装飾用に描かれたそうで、
ロートレックのポスターの要素を取り入れているらしいです。

女性の雰囲気とか、ロートレックっぽい。
というか、キャバレーなので扮装が同じという話ですが。

この男性の服の色といい、とてもキレイな配色で雰囲気もお洒落。
さすがパリを描くとこうなるのかー。

ちなみに、現地の英語の説明によると、この男性はピカソ自身を道化(アルルカン)
として描き、その横の女性は当時の恋人(というか愛人?)のジェルメーヌだとか。

しかしこのジェルメーヌという女性は、この絵を描く数年前にピカソの大親友を自殺
追いやった女性で、それがきっかけでピカソの暗ーい青の時代が始まったというのに、
そんな女性とそういう関係になるかー???

・・・いや、ピカソならあり得るか。なにかこの女性には魅力があったのでしょう。
ピカソの中で何か踏ん切りがついたのでしょう。青の時代も終わってるし。

ついでに、ラパン・アジル(Lapin Agile)というのは、パリのモンマルトルにある
シャンソン酒場で、当時ピカソユトリロなど若い画家が集まっていた場所なのだとか。

今もサクレ・クール寺院の裏で営業している有名店だそうな。
さらに、フランス映画「アメリ」にも出てくるそうな。

英語の説明ではこのお店はキャバレーになっていましたが、
キャバレーの定義がよく理解できていないのでその辺はスルー。(笑)

19世紀・20世紀初期ヨーロッパ絵画・彫刻のエリアはまだまだ続きます。(^^;

posted by サラミ at 22:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 15ニューヨーク | 更新情報をチェックする

2015年12月14日

NY6日目:メトロポリタン美術館 ヨーロッパ絵画2

2015年10月7日(水) メトロポリタン美術館 ヨーロッパ絵画2

ヨーロッパ絵画1250年~1800年のエリアの続きです。


8.JPG

次に入った部屋はレンブラントフランス・ハルスの肖像画がいっぱい。
フランス・ハルスはよく知らなかったので、レンブラントの絵を中心に見ました。


9.JPG

こちらはレンブラントの「自画像」。あら、こんなおっさんだったんですね。

しかし、なんで自画像なんて描くんでしょうか。私だったら照れるわー。
と思ったら、どうやら絵の研究のために自画像を描きまくっていたらしいですね。


10.JPG

同じくレンブラントの「ホメロスの胸像を見つめるアリストテレス」。

この部屋が明るくてレンブラントの絵が暗いので、撮影すると絵が光ってしまい、
この通り白飛びしまくり。この絵もこの写真だと全然分かりません。

しかし、地味に見えてもアリストテレスの表情が何とも言えません。

手元のガイドブックには、「アリストテレスが世俗的な成功に対し、精神的なものの価値
熟考している場面だと考えられている」とあります。

金の鎖には教え子だったアレキサンダー大王のメダイヨンがぶら下がっているそうで、
思うに、そのメダイヨンが世俗的成功、ホメロスの胸像が精神的なものを表している
のかなーと思います。

光の明暗でその辺をアリストテレスの表情に出して表しているのは凄い。


11.JPG

もう一つレンブラントの「Portrait of a Man」。本当は楕円形の絵ですがその抜粋。
写真かというほどのリアルさでその超絶技巧たるや気が遠くなりそうです。

しかし、リアルだけど個性的だと思うのです。いや、リアルだから個性的なのか。


11b.jpg

この男性の毛の細さが存分に伝わってくるこの筆遣い。産毛シワまできっちり。


12.JPG

別の部屋に来たら200年ほど時代が遡りました。
ペトルス・クリストゥスの「カルトゥジオ会修道士の肖像」。

北方ルネサンスの画家だそうな。今回初めて知りました。
この髭の縮れ具合にびっくりして見入ってしまったのでした。

この絵、よく見ると絵の下に額縁か欄干のような物が描かれていて、
何とそこにハエがとまっているのです。だまし絵の技法だそうな。


13.JPG

ここまで拡大すると絵だと分かります。遊び心いっぱいです。

後で知りましたが、澁澤龍彦がこの画家の絵に関心があるそうで思いっきり納得しました。


14.JPG

さらに昔の絵になりました。ドゥッチョの「聖母子」。1300年頃の絵です。

額縁は当時のものだそうで、蝋燭の火で下の方は燃えちゃっているとか。

ドゥッチョというのはイタリア・シエナの画家で、シエナ派の祖と言われているそうな。
シエナの大聖堂を訪れた時、大聖堂付属美術館でドゥッチョの絵を見たので強烈に覚えています。

というか、この平面的なルネサンス直前の宗教画は、何枚も見ると結構キョーレツです。

しかし、ドゥッチョは単なる形式的な絵ではなく、もっと内面をリアルに描こうとしています。

現地の解説によると、聖母マリアの悲しみの表情は、我が子イエスの磔の未来が分かっているから
なのだとか。・・・不機嫌にしか見えなかったけど、当時にしては衝撃の内面描写です。

メトロポリタン美術館はシエナ派のコレクションが多いらしく、他にもいっぱいあったのですが、
昔シエナでさんざん見たので適度にスルー。


15.JPG

こちらはラファエロの「玉座の聖母子と5聖人(コロンナの祭壇画)」。

この祭壇画はペルージャの女子修道院のために描かれたとかで、ラファエロ初期の作品だとか。
依頼者の意向で幼子イエスはを着せられています。それもかなりガッツリと。

ちなみに、額は古いもののオリジナルではないそうな。


15b.jpg

アップにすると、ラファエロの絵だなあというのがさらによく分かります。
ちなみに、画像右下の男の子は洗礼者聖ヨハネだそうな。

しかし、イエスの服も洗礼者聖ヨハネの服も今時の子供みたいに見えるのは私だけ?
女子修道院というのは神経質なんですねぇ。

さらに余談ですが、「コロンナの祭壇画」という別名は、1689年以降、ローマのコロンナ家が
この祭壇画を買い取ったので、その名で呼ばれているらしいです。(ホンマに余談ですが。)


16.JPG

そしてもう一枚ラファエロ。「Agony in the Garden」というこちらは随分と小さな絵。

・・・と思ったら、これは先ほど見たラファエロの絵の基底部を飾るプレデュラの一部だとか。
プレデュラというのは美術用語で、英語では単にBASEになっています。

こういう小さい絵が何枚か横に帯状になって連なっていたようです。その1枚ですね。

Agony in the Garden」というのは新約聖書の一場面で、ユダの裏切りに遭い、
捕らえられて十字架にかけられる前にゲッセマネ(オリーブ山)でイエスが祈った時の話です。

この場面では、弟子達はイエスに何度言われても疲れて眠りこけてしまいます。
ここに描かれている弟子達は、最初何をしてるんだろうと思ったのですが、寝ていたのです。

おーい、みんなー!お師匠さんは明日十字架に磔になるんやでー!


17.JPG

別の部屋に行くと再びエル・グレコ。この頃になると疲れてきて写真が適当。
左から「エル・グレコの自画像」、「枢機卿ニーニョ・デ・ゲバラの肖像」「羊飼いの礼拝」。


18.JPG

さらにエル・グレコの「聖ヨハネの幻視」。別名は「解かれた第5の封印」など色々。
この絵は現代アートじゃないのか、みたいなぶっ飛んだ感じが衝撃的。

あまりにもこの絵に釘付けになってしまい、真横に展示していた「トレド眺望」という
これまたエル・グレコの有名な絵を見逃しました。(笑)

この絵はヨハネの黙示録七つの封印の話を題材にしているそうです。

第5の封印が解かれて殉教者が現れ、復讐を求める場面。(第6章)
この絵の左の人物は聖ヨハネで、その他は殉教者の魂です。あと上に天使も。

最後の審判が下る少し前の緊張感のある瞬間の絵ということで、
構図の大胆さとか空の強烈な色とか、すごく見入ってしまいました。

何でも、ニューヨーク近代美術館にあるピカソの「アヴィニョンの娘たち」は
この絵の影響を受けているとか。確かに殉教者とアヴィニョンの娘のポーズが似ているかも。


2.JPG

数日前にニューヨーク近代美術館で見た「アヴィニョンの娘たち」。
裸で布を纏っているのは確かにエル・グレコの絵と同じです。


19.JPG

次はベラスケスの「フアン・デ・パレーハ」。彼の工房の助手を描いたものだとか。

全体的に暗めの色調で、パッとモデルの助手さんの顔に目がいきますね。

しかし、ガイドブックの説明を読んでビックリしたのは、この助手はムーア人で、
ベラスケスの奴隷だったということ。奴隷助手だったそうな。

えー、ベラスケスって奴隷使ってたのーーー?!
ま、しかし、当時のスペインは宮廷に道化とか特殊な身分の人もいたもんね。

この助手は後にベラスケスにより奴隷の身から解放されたそうな。
しかし、解放しなかったらどうなったんでしょうか。

とはいえ、この肖像画を見るとフアン・デ・パレーハという彼は誇り高い表情で、
とても奴隷とは思えません。

ベラスケスと彼の関係が単なる奴隷と主人以上であったと想像される絵でした。


20.JPG

同じくベラスケスの「マリア・テレサ(マリー・テレーズ)」。

マリア・テレサ王女はフェリペ4世の娘で後にフランスのルイ14世に嫁ぎました。
しかし私は有名なマルガリータ王女と勘違いしてこの絵を見ていました。(笑)

とはいえ、マリア・テレサとマルガリータは異母姉妹なので、似ていてもおかしくないのです。
ちなみに、お父さんのフェリペ4世の肖像画もありました。


21.JPG

こちらはアメリカらしくベンジャミン・フランクリンの肖像画。

ジョゼフ・デュプレシというあまり知らないフランス人画家の絵なのですが、
この画家の絵が100ドル札の図柄なのだそうです!といってもこれではないですが。


22.JPG

見ても見てもまだ終わりません。そろそろ死にそうです。


23.JPG

また15世紀の絵の部屋に来ました。順番がどうなっているのかよく分からん。
中央はフィリッポ・リッピの「開き窓の男女の肖像」。あ、よく見ると男女二人。

しかし、私はまたしても勘違い。フィリッピーノ・リッピの絵だと思っていたのです。
が、名前で想像つくように、フィリッピーノはフィリッポの息子でした。そうだったのか。


24.JPG

ベリーニもありました。「聖母子」。ジョットの「聖母子」とは随分と変わりましたね。
この画像ではあまり見えませんが、聖母マリアの後光なんかを描くだけです。

素晴らしい初期ルネサンスの作品ではありますが、サクッと見て終わり。
いいのだ、この辺は前にイタリアでじっくり見たし。


25.JPG

最後の方になってカラヴァッジョ発見。「聖ペテロの否認」。写真ブレてしまいました。(涙)
この絵はカラヴァッジョが死ぬ数か月前に描かれたそうで、明暗の描写もさらに激しいです。

これは真ん中の女性が兵士に聖ペテロがイエスの使徒であることを告げ口する場面。

これも新約聖書に出てくるお話です。イエスに従うと固く誓った聖ペテロが
あんな人(イエス)のことなど知らない。と必死で3回否定するという。

聖ペテロを指している女性の指1本と兵士の指2本は、ペテロへの追及とペテロが否認した
3回という数字を暗示しているのだと解説にありました。

この後、聖ペテロは磔刑にされます。

死刑を宣告されていたカラヴァッジョならではの本物の緊張感。
聖書の話なのにリアルです。絵を描く度に命が縮まっていったような気がしますね。


26.JPG

もう1枚カラヴァッジョの「音楽家たち」。年代は遡って1595年だとか。
この頃の絵には、まだ死を感じさせるような鬼気迫る感じはありません。

現地の解説によると、少年は音楽の寓意なのだそうな。一番左はがあるので天使で、
右から2人目の振り返っている少年はカラヴァッジョの自画像だとか。

中央は誰かモデルでもいたのでしょうか。他の絵でもこれに似た顔をよく見ますね。
あと、カラヴァッジョの描く美少年の表情が毎度ながら艶めかしいです。

たまたまとはいえ、最後にカラヴァッジョを見たのが惜しまれます。
もう少し最初に見ていれば、もっと丁寧に見学していたのに。

すんごい量でしたが、とりあえず、ヨーロッパ絵画1250年~1800年のエリアは見終わりました。

次は、19世紀・20世紀初期ヨーロッパ絵画・彫刻のエリアへ向かいます。もうヘロヘロ。

posted by サラミ at 21:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 15ニューヨーク | 更新情報をチェックする

2015年12月13日

NY6日目:メトロポリタン美術館 ヨーロッパ絵画1

2015年10月7日(水) メトロポリタン美術館 ヨーロッパ絵画1

すっかりお昼を過ぎました。が、この日は朝パンケーキを死ぬほど食べて
あまりお腹が空いていなかったのと時間がなかったのとで、お昼は抜きで2階へ。

次はヨーロッパ絵画1250年~1800年のエリアを巡りました。


1.jpg

ルーベンスの「ルーベンスと妻エレーヌ・フールマンと息子」。
自分も含めた家族の肖像画です。

奥さん若いな~と思ったのですが、この女性は2番目の妻で、その年の差なんと37歳

手元のガイドブックによると、2人は1630年に結婚したそうですが、
エレーヌは1614年生まれなので結婚した時はなんと16歳!ルーベンス53歳・・・。

この絵は1630年代半ばの作だそうで、エレーヌは20歳を過ぎたところですね。
そりゃー、ルーベンスもデレデレするはずだわ。と、この絵を見て思いました。

ルーベンスは1640年に亡くなりますから、これは晩年の幸せな絵です。

それにしても、どこの美術館に行ってもルーベンスの絵があるなぁ。
工房で助手に絵を描かせてたから枚数も多くなるわな。

ここにも、ルーベンス工房の絵がありました。


2.jpg

こちらはヴァン・ダイクの「Lucas van Uffel」。この画家もルーベンスの弟子ですね。

フランドルの画家はこんな絵が多い~。


3.jpg

フェルメールの部屋に来ました。この美術館にはフェルメールの作品が5点あります。

こちらは「リュートを調弦する女」。保存状態も悪かったらしく、色褪せも見られるような。
左側から光が入ってくるのはいつものパターンですが、ちょっと地味な印象を受けました。


4.jpg

同じくフェルメールの「少女」。いわゆる典型的な美少女でないところが面白い。

「フェルメールが目指したのは肖像画ではなく個性表情の表現だ」とガイドブックにありましたが、
今の時代と何ら変わらん目のつけ方やな~、と感心しました。

ルノワールの美少女の絵より、こっちの方がよっぽど興味を掻き立てられますな。


5.JPG

こちらもフェルメールの「眠る女」。

「テーブルの上にグラスが2つあり、おめかししたメイドの女性が
客をもてなした後に居眠りしているところだ」と英文の説明にありました。

そうなんです。邦題は「眠る女」ですが、英語ではメイド(Maid)とありました。

後ろのドアが開いていて向こうの部屋まで見えるとか、空間の描き方が面白いですね。

さらには、X線検査で分かったことだそうですが、向こうの部屋には男性
描かれていたものを、フェルメールはそれらを消して、壁にかかるキューピッドの絵に
置き換えて、好色(amorous)なテーマを曖昧にした、とか何とか。

その場では、何が好色なのか分からなかったのですが、ウィキペディアのこの絵の説明には
犬は性的なものを表すと書いてあり、英語の説明はそういうことを示唆してたのか、と納得。

でも、この絵をパッと見た限りでは、全然そんなこと分かりません。
しかも、なんで犬が性的なシンボルになるのか理解に苦しむのでした。分からん。(^^;

しかし、メイドがなぜかおめかししている、となると、もてなした相手は男性だったのかな。


6.jpg

フェルメールの4枚目は「信仰の寓意」。その名の通り寓意画です。

邦題では「信仰」となっていますが、英文では「Catholic faith」です。

まず、なんでこの女性はこんな不自然なポーズを取っているのかと思いました。
他のフェルメール作品では有りえない仰々しさ。

しかし、この絵は風俗画ではなく宗教画なので、写実的な絵を描くフェルメールも、
この時ばかりはバロック絵画の手法を取り入れて劇的表現を試みたのだろう、

・・・ってどこかの評論か何かで読みました。どこだったか忘れた・・・。

とにかく、寓意画なので、この女性も生身の女性ではなく信仰を表すのだそうです。

寓意についてはリンゴ程度しか分からないので、なぜ女性が地球儀
踏んづけているのか、とか、ガラスの球体は何なのか、とか謎だらけでした。

その辺についてはウィキペディアに載ってました。→ウィキペディア「信仰の寓意

現地の英文の説明には、

公式にはプロテスタントだったネーデルラントで、結婚のためにカトリックに改宗した
フェルメールは、タペストリーの後ろにカトリック信者が礼拝する「隠された教会
というものを表したのだろう、

とも書かれていました。

全然分からないながらも思ったのは、青い色が鮮やかで美しかったことと、
左手前のタペストリーの柄が重厚でやはりフェルメールらしいな、ということでした。

ま、でも、後で意味を知るとなるほどーと思うものの、一発目は女性の不自然さ
どうしても気になってしまう作品でした。(笑)

そして、フェルメールのラスト、5つ目の作品は・・・

7.jpg

衝撃の日本に貸し出し中。

フェルメールとレンブラント:17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち展」てヤツですわ。

しかし、はるばるニューヨークまで来て「水差しを持つ若い」が見られないなんてショック。
フェルメールの中でもこの絵を一番楽しみにしていたのに。

よりによって日本に行っているというのがますますショック。(涙)

悲しみに打ちひしがれたので一旦ここまで。

ヨーロッパ絵画1250年~1800年のエリアはまだ続きます。

posted by サラミ at 13:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 15ニューヨーク | 更新情報をチェックする

2015年12月12日

NY6日目:メトロポリタン美術館 Robert Lehman Collection

2015年10月7日(水) メトロポリタン美術館 ロバート・リーマン・コレクション

これまでさんざん見てきましたが、まだ1階3分の1ほどしか見ていません。

次はロバート・リーマン・コレクションを見に行こうと思いましたが、武器・甲冑のエリアとの間に、
巨大なヨーロッパ彫刻・装飾美術のエリアがあったので、そこを通り抜けて行くことにしました。


1.JPG

ヨーロッパ彫刻・装飾美術のエリアはこんな感じで、家具や大きな彫像とかタペストリーとか、
果てはヨーロッパの宮殿みたいなバロック調の部屋をまるまる移設展示していたりと巨大です。

私達は本当にすっ飛ばさなければヨーロッパ絵画に辿り着けない
と危機感を覚えたので、通り抜けた所しか見ていません。写真もほとんど撮っていません。


2.JPG

すごいテーブルのそばを通ったので思わず撮りました。

ローマのファルネーゼ宮のテーブルだそうな。大理石の色とデザインがいかにもイタリア


3.JPG

これは、ガイドブックに一発目に大きく紹介されていたのでしっかり見ました。
妖精(Winged Child)」とあり、噴水の上にあったということで、ここでもえらく高い所に。

私は勝手にこの作者がドナテッロだと思っていたのですが、ガイドブックをよく見ると、

ドナテッロ(ドナート・ディ・ニッコロ・ディ・ベット・バルディ)の同僚

と書かれていました。の同僚って何ーーーっ!?

しかも、「の同僚」だけフォントが小さいんですよ!騙されたー!
とはいえ、ドナテッロによく似てますわ。


4.JPG

一瞬だけ中世美術のエリアを通りましたが、ここは完全にスルーしました。

ここからいよいよロバート・リーマン・コレクションです。

ところで、ロバート・リーマンて誰やねんと思ったら、
あのリーマン・ショックでお馴染みの、リーマン・ブラザーズの昔の社長だそうな。

その先代から集めに集めた美術品は多岐にわたり、絵画のみならず置物タペストリーまで。

あまりに趣味が広範囲すぎて、どこに集中して見たらいいのか困りました。
しかも、個人のコレクションのくせにエリアも広いです。

これらの美術品を寄贈した時には、まさか自分の会社が倒産するなんて
夢にも思わなかったに違いない。


5.JPG

まずは絵画から。マティスの「コリウールのオリーブの木」。



6.JPG

こちらもマティス。「Spanish Woman: Harmony in Blue」。
分かりやすくていいなあ。


7.JPG

ゴーギャンの「タヒチの女性の入浴」。


8.JPG

こちらはゴッホの「ルーラン夫人と赤ん坊」。
ゴッホが赤ちゃんを描くとこうなるのか~、と妙な感動を覚えました。優しさが出ている気がします。


9.JPG

ユトリロの「40, Rue Ravignan」。ユトリロって材料にも使ってるんですね。知らんかった。


10.JPG

別の部屋に来るとシックな壁紙の色にエル・グレコの絵がマッチしていました。
こちらは、「学者の姿をした聖ヒエロニムス」。


11.JPG

サラミ夫のビデオカメラによるズーム。頭頂部の髪が薄い!芸が細かいです。


12.JPG

さらにズーム。アップで見ると髭の1本1本まで繊細です。


13.JPG

こちらもエル・グレコで「十字架を担うキリスト」。
どうも、この時代の人にしては、古典的な絵画というより劇画チックなのだなぁ。

このような素晴らしい作品を見て何なのですが、少女漫画家の青池保子の絵を思い出しました。
面長のせいかなぁ。面長といえば阿部寛にも似てる気が。あの人も劇画チックやもんな~。

やっぱり、えらく頭が小さいとか顔が細長いとか、現実離れした感じ(マニエリスムのせい?)が
劇画チックな雰囲気になるんでしょうか。ついでに色の強烈さも。


14.jpg

こちらはアングルの「ド・ブロイ侯爵夫人」です。大きな作品でした。

ドレスや椅子の生地の質感とかレースや肌の色とか、緻密で凄いのですが、
でも、ぶっ飛んだ感じエル・グレコを見てからこの絵を見ると、ひどく大人しく感じてしまいますね。


15.JPG

中世の美術品も多く、こちらは「アリストテレスとフィリスの広口水差し」だそうな。

哲学者アリストテレスが若く美しい侍女フィリスに魅了され、言われるがままこんな姿になり
嘲りを受ける・・・という、見た印象そのまんまのストーリーを題材にした物だそうな。

この水差しを使うって何だか悪趣味だと思ってしまうのですが、あまりにもMな感じに
目が釘付けになったのでここに載せます。


16.JPG

これが一番見たかったボッティチェリの「受胎告知」。まさかここまで小さい絵だとは。
ガラスケースに入っていて、照明が反射して光ってしまいます。これ板絵だし。

でも、ボッティチェリだと素人でも分かる絵です。


17.jpg

サラミ夫のビデオカメラの画像です。こっちでもやっぱり少し光ってます。
ビデオカメラの方は色が褪せて映りますね。


18.JPG

あまりにも反射して絵が写らないので、斜めから撮ってみました。(意味あるのか、これ。)


19.JPG

別室に移動し、こちらはセザンヌの「Trees and Houses Near the Jas de Bouffan」。

ジャ・ド・ブッファン(Jas de Bouffan)はエクサン・プロヴァンス近郊の場所。
セザンヌは本当に地元愛いっぱいでこんな風景画をよく描きましたね。


20.JPG

最後にルノワールの「ピアノに向かう二人の若い娘」。

色が暖かくてとてもキレイで癒し系。でもルノワールの少女の絵は私の好みではありません。
大昔の少女漫画の世界のような気がするのは私だけ?

でも、ルノワールはこういう美少女とかが好きなんだなー、と今回しみじみ思いました。

何かふくよかで透き通るほど青白い肌で、長い髪で家庭的でほんわかとした雰囲気。
ロリコンてことはないでしょうけど、女性の好みはハッキリ出てますわな。(笑)

ともあれ、多くの人から愛されている絵画なのは確かです。

1階にはまだ「ギリシャ・ローマ美術」と「アフリカ、オセアニア、南北アメリカ美術」もありましたが、
今回は飛ばしました。またいつか機会があれば、ということで、ヨーロッパ美術を目指します。

posted by サラミ at 21:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 15ニューヨーク | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。