2015年12月14日

NY6日目:メトロポリタン美術館 ヨーロッパ絵画2

2015年10月7日(水) メトロポリタン美術館 ヨーロッパ絵画2

ヨーロッパ絵画1250年~1800年のエリアの続きです。


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次に入った部屋はレンブラントフランス・ハルスの肖像画がいっぱい。
フランス・ハルスはよく知らなかったので、レンブラントの絵を中心に見ました。


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こちらはレンブラントの「自画像」。あら、こんなおっさんだったんですね。

しかし、なんで自画像なんて描くんでしょうか。私だったら照れるわー。
と思ったら、どうやら絵の研究のために自画像を描きまくっていたらしいですね。


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同じくレンブラントの「ホメロスの胸像を見つめるアリストテレス」。

この部屋が明るくてレンブラントの絵が暗いので、撮影すると絵が光ってしまい、
この通り白飛びしまくり。この絵もこの写真だと全然分かりません。

しかし、地味に見えてもアリストテレスの表情が何とも言えません。

手元のガイドブックには、「アリストテレスが世俗的な成功に対し、精神的なものの価値
熟考している場面だと考えられている」とあります。

金の鎖には教え子だったアレキサンダー大王のメダイヨンがぶら下がっているそうで、
思うに、そのメダイヨンが世俗的成功、ホメロスの胸像が精神的なものを表している
のかなーと思います。

光の明暗でその辺をアリストテレスの表情に出して表しているのは凄い。


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もう一つレンブラントの「Portrait of a Man」。本当は楕円形の絵ですがその抜粋。
写真かというほどのリアルさでその超絶技巧たるや気が遠くなりそうです。

しかし、リアルだけど個性的だと思うのです。いや、リアルだから個性的なのか。


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この男性の毛の細さが存分に伝わってくるこの筆遣い。産毛シワまできっちり。


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別の部屋に来たら200年ほど時代が遡りました。
ペトルス・クリストゥスの「カルトゥジオ会修道士の肖像」。

北方ルネサンスの画家だそうな。今回初めて知りました。
この髭の縮れ具合にびっくりして見入ってしまったのでした。

この絵、よく見ると絵の下に額縁か欄干のような物が描かれていて、
何とそこにハエがとまっているのです。だまし絵の技法だそうな。


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ここまで拡大すると絵だと分かります。遊び心いっぱいです。

後で知りましたが、澁澤龍彦がこの画家の絵に関心があるそうで思いっきり納得しました。


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さらに昔の絵になりました。ドゥッチョの「聖母子」。1300年頃の絵です。

額縁は当時のものだそうで、蝋燭の火で下の方は燃えちゃっているとか。

ドゥッチョというのはイタリア・シエナの画家で、シエナ派の祖と言われているそうな。
シエナの大聖堂を訪れた時、大聖堂付属美術館でドゥッチョの絵を見たので強烈に覚えています。

というか、この平面的なルネサンス直前の宗教画は、何枚も見ると結構キョーレツです。

しかし、ドゥッチョは単なる形式的な絵ではなく、もっと内面をリアルに描こうとしています。

現地の解説によると、聖母マリアの悲しみの表情は、我が子イエスの磔の未来が分かっているから
なのだとか。・・・不機嫌にしか見えなかったけど、当時にしては衝撃の内面描写です。

メトロポリタン美術館はシエナ派のコレクションが多いらしく、他にもいっぱいあったのですが、
昔シエナでさんざん見たので適度にスルー。


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こちらはラファエロの「玉座の聖母子と5聖人(コロンナの祭壇画)」。

この祭壇画はペルージャの女子修道院のために描かれたとかで、ラファエロ初期の作品だとか。
依頼者の意向で幼子イエスはを着せられています。それもかなりガッツリと。

ちなみに、額は古いもののオリジナルではないそうな。


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アップにすると、ラファエロの絵だなあというのがさらによく分かります。
ちなみに、画像右下の男の子は洗礼者聖ヨハネだそうな。

しかし、イエスの服も洗礼者聖ヨハネの服も今時の子供みたいに見えるのは私だけ?
女子修道院というのは神経質なんですねぇ。

さらに余談ですが、「コロンナの祭壇画」という別名は、1689年以降、ローマのコロンナ家が
この祭壇画を買い取ったので、その名で呼ばれているらしいです。(ホンマに余談ですが。)


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そしてもう一枚ラファエロ。「Agony in the Garden」というこちらは随分と小さな絵。

・・・と思ったら、これは先ほど見たラファエロの絵の基底部を飾るプレデュラの一部だとか。
プレデュラというのは美術用語で、英語では単にBASEになっています。

こういう小さい絵が何枚か横に帯状になって連なっていたようです。その1枚ですね。

Agony in the Garden」というのは新約聖書の一場面で、ユダの裏切りに遭い、
捕らえられて十字架にかけられる前にゲッセマネ(オリーブ山)でイエスが祈った時の話です。

この場面では、弟子達はイエスに何度言われても疲れて眠りこけてしまいます。
ここに描かれている弟子達は、最初何をしてるんだろうと思ったのですが、寝ていたのです。

おーい、みんなー!お師匠さんは明日十字架に磔になるんやでー!


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別の部屋に行くと再びエル・グレコ。この頃になると疲れてきて写真が適当。
左から「エル・グレコの自画像」、「枢機卿ニーニョ・デ・ゲバラの肖像」「羊飼いの礼拝」。


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さらにエル・グレコの「聖ヨハネの幻視」。別名は「解かれた第5の封印」など色々。
この絵は現代アートじゃないのか、みたいなぶっ飛んだ感じが衝撃的。

あまりにもこの絵に釘付けになってしまい、真横に展示していた「トレド眺望」という
これまたエル・グレコの有名な絵を見逃しました。(笑)

この絵はヨハネの黙示録七つの封印の話を題材にしているそうです。

第5の封印が解かれて殉教者が現れ、復讐を求める場面。(第6章)
この絵の左の人物は聖ヨハネで、その他は殉教者の魂です。あと上に天使も。

最後の審判が下る少し前の緊張感のある瞬間の絵ということで、
構図の大胆さとか空の強烈な色とか、すごく見入ってしまいました。

何でも、ニューヨーク近代美術館にあるピカソの「アヴィニョンの娘たち」は
この絵の影響を受けているとか。確かに殉教者とアヴィニョンの娘のポーズが似ているかも。


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数日前にニューヨーク近代美術館で見た「アヴィニョンの娘たち」。
裸で布を纏っているのは確かにエル・グレコの絵と同じです。


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次はベラスケスの「フアン・デ・パレーハ」。彼の工房の助手を描いたものだとか。

全体的に暗めの色調で、パッとモデルの助手さんの顔に目がいきますね。

しかし、ガイドブックの説明を読んでビックリしたのは、この助手はムーア人で、
ベラスケスの奴隷だったということ。奴隷助手だったそうな。

えー、ベラスケスって奴隷使ってたのーーー?!
ま、しかし、当時のスペインは宮廷に道化とか特殊な身分の人もいたもんね。

この助手は後にベラスケスにより奴隷の身から解放されたそうな。
しかし、解放しなかったらどうなったんでしょうか。

とはいえ、この肖像画を見るとフアン・デ・パレーハという彼は誇り高い表情で、
とても奴隷とは思えません。

ベラスケスと彼の関係が単なる奴隷と主人以上であったと想像される絵でした。


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同じくベラスケスの「マリア・テレサ(マリー・テレーズ)」。

マリア・テレサ王女はフェリペ4世の娘で後にフランスのルイ14世に嫁ぎました。
しかし私は有名なマルガリータ王女と勘違いしてこの絵を見ていました。(笑)

とはいえ、マリア・テレサとマルガリータは異母姉妹なので、似ていてもおかしくないのです。
ちなみに、お父さんのフェリペ4世の肖像画もありました。


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こちらはアメリカらしくベンジャミン・フランクリンの肖像画。

ジョゼフ・デュプレシというあまり知らないフランス人画家の絵なのですが、
この画家の絵が100ドル札の図柄なのだそうです!といってもこれではないですが。


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見ても見てもまだ終わりません。そろそろ死にそうです。


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また15世紀の絵の部屋に来ました。順番がどうなっているのかよく分からん。
中央はフィリッポ・リッピの「開き窓の男女の肖像」。あ、よく見ると男女二人。

しかし、私はまたしても勘違い。フィリッピーノ・リッピの絵だと思っていたのです。
が、名前で想像つくように、フィリッピーノはフィリッポの息子でした。そうだったのか。


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ベリーニもありました。「聖母子」。ジョットの「聖母子」とは随分と変わりましたね。
この画像ではあまり見えませんが、聖母マリアの後光なんかを描くだけです。

素晴らしい初期ルネサンスの作品ではありますが、サクッと見て終わり。
いいのだ、この辺は前にイタリアでじっくり見たし。


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最後の方になってカラヴァッジョ発見。「聖ペテロの否認」。写真ブレてしまいました。(涙)
この絵はカラヴァッジョが死ぬ数か月前に描かれたそうで、明暗の描写もさらに激しいです。

これは真ん中の女性が兵士に聖ペテロがイエスの使徒であることを告げ口する場面。

これも新約聖書に出てくるお話です。イエスに従うと固く誓った聖ペテロが
あんな人(イエス)のことなど知らない。と必死で3回否定するという。

聖ペテロを指している女性の指1本と兵士の指2本は、ペテロへの追及とペテロが否認した
3回という数字を暗示しているのだと解説にありました。

この後、聖ペテロは磔刑にされます。

死刑を宣告されていたカラヴァッジョならではの本物の緊張感。
聖書の話なのにリアルです。絵を描く度に命が縮まっていったような気がしますね。


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もう1枚カラヴァッジョの「音楽家たち」。年代は遡って1595年だとか。
この頃の絵には、まだ死を感じさせるような鬼気迫る感じはありません。

現地の解説によると、少年は音楽の寓意なのだそうな。一番左はがあるので天使で、
右から2人目の振り返っている少年はカラヴァッジョの自画像だとか。

中央は誰かモデルでもいたのでしょうか。他の絵でもこれに似た顔をよく見ますね。
あと、カラヴァッジョの描く美少年の表情が毎度ながら艶めかしいです。

たまたまとはいえ、最後にカラヴァッジョを見たのが惜しまれます。
もう少し最初に見ていれば、もっと丁寧に見学していたのに。

すんごい量でしたが、とりあえず、ヨーロッパ絵画1250年~1800年のエリアは見終わりました。

次は、19世紀・20世紀初期ヨーロッパ絵画・彫刻のエリアへ向かいます。もうヘロヘロ。



posted by サラミ at 21:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 15ニューヨーク | 更新情報をチェックする
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