ホテルザッハーに行った後、ちょろっとスーパーで買い物をしてホテルの部屋で軽く食べ、
再びウィーン国立歌劇場に戻って来ました。
これでウィーンでのオペラも最後です。
今日はロシアの作曲家、ムソルグスキーの「ボリス・ゴドゥノフ」。
頑張って予習しましたが、やはりロシア・オペラらしく全体的に暗い。(^^;
前回ウィーンに来た時はチャイコフスキーの「スペードの女王」を見ましたが、
どうも私はウィーンに来るとロシア・オペラを見る運命のようです。

ここに来るのも通算6回目ともなると、だんだん慣れてきて余裕が。はっはっは。

今日の座席は、2.RANG LOGE(=3階ボックス席)なのは2日前と同じですが、
今回はちょっとイレギュラーな取り方をしました。(安めの席がそれしかなかったので。)
LINKS(=左)のLoge 3(ボックス席3)のReihe 1(=1列目) Platz 3(=座席3番)と、
その後ろのReihe 2(=2列目) Platz 4(=座席4番)です。

座席表を拡大しました。つまり、最前列の座席3と、その後ろの座席4を取ったのです。
座席1と2はすでに売れていて、3と4が空いているのがここだけでした。
もっといい席は空いていましたが、今回は観る数が多いので節約しました。
ちなみに、座席3の値段は76ユーロ、座席4はぐっと下がって10ユーロです。
2人で合計86ユーロと考えるとお得です。

このように、座席3から見ると舞台はものすごく左ですが、最前列なので十分見えます。

座席3からの見え方はこんな感じ。身を乗り出せば全部見えます。
ここにはサラミ夫が座りました。

その後ろの座席4からだと、少し切れる部分が多くなります。
とはいえ、前がサラミ夫なので、私は立ち上がってサラミ夫にもたれかかって見ました。

実は、座席5と6は若い女の子が2人で見に来ていて、6の子が椅子を5の横に並べたので、
私も後ろを気にすることなく立ち上がることが出来たというワケです。
しかし、通常は端っこのボックス席の座席6は全く見えないので売れ残っていることが多いです。

2列目、3列目の字幕はこのように好きな角度に動かすことができます。
ボリス・ゴドゥノフはロシア語だし長いので、字幕なしではさすがにツライ!
私の横と後ろにいた女の子達は何となく来てみただけの観光客だったのか、
上演中に喋るし携帯も切らないでいじっているし、ちょっと迷惑だなーと思っていたら、
退屈したようで、途中で帰ってしまいました。
そりゃアナタ、こんなアリアらしいアリアもほとんどない暗いオペラ、
何となくで見たって理解不能でしょう。不運でしたね。でも帰ってくれて助かりました。
意外だったのは、サラミ夫の横に座っていたオーストリアの人らしきご夫妻のダンナさんが、
幕が開いた後もギリギリまで携帯でメールを打っていたことです。
そして音楽が流れ始めてほどなく、慌てて携帯を切りました。
おそらく仕事なんだろうなーと思って後ろから見ていましたが、時代の流れですね~。
この日のキャストは、
Michael Güttler | Dirigent (指揮)
Ferruccio Furlanetto | Boris Godunow
Kurt Rydl | Pimen
Marian Talaba | Grigori
Margarita Gritskova | Fjodor
Ileana Tonca | Xenia
Zoryana Kushpler | Amme
Norbert Ernst | Schuiskij
Clemens Unterreiner | Andreej Schtschelkalow
Janusz Monarcha | Warlaam
James Kryshak | Missail
Aura Twarowska | Schenkenwirtin
Wolfgang Bankl | Hauptmann
Pavel Kolgatin | Gottesnarr
Roman Lauder | Nikititsch
Marcus Pelz | Mitjuch
と、出演者たくさんですが、とにかくこのオペラはフェルッチョ・フルラネット(ボリス役)!!
この人を見るためだけにこの公演のチケットを買ったようなもんです。(いや本当に。)
その他で知っている人はピーメン役のクルト・リドルと、
グリゴリー(偽ドミトリー)役のマリアン・タラバのみ。
マリアン・タラバという人は、前回「スペードの女王」を観た時も主役でしたがパッとせず、
今回も期待してなかったけど、やはりイマイチ。出番も少なかったけど。
クルト・リドルは大べテランのバスですが、2010年に上海で見ました。
「神々の黄昏」のハーゲン役で一人だけ別次元の音量で存在感があり、今回も楽しみでした。

これは最後のカーテンコールですが、全体的に舞台は殺風景で真ん中に王座だけ、みたいな。
ボリス・ゴドゥノフはものすご~く長いオペラで、しかもいくつか改訂版があり、
今回は一体どのバージョンで上演するのだろう?と思っていました。
予習の段階ではどこを省略するか分からないので、持っているDVDやCDを全部観たり
聴いたりしていましたが、やっぱり長い。
実際に観た感じでは、どの改訂版というより独自の短縮版だったように思いますが、
思い切って全部バッサリと切った場なんかもあり、展開が早くて驚きました。
開幕からあっという間に戴冠式の場になりボリス・ゴドゥノフ登場。
下からせりで上がってきたフルラネットが神々しくてかっこい~~~!!
その後もたくさん出演するのですが、端折っているので一人ひとりの出番が少なくて、
とにかくボリスを全面に出すような感じでした。
しかし、最後は見せ場の「ボリスの死」で終わり、納得のエンディングです。
ただ、私が観たDVDがボリショイとキーロフという正にロシアの豪華絢爛の舞台で、
最後のボリスの死ぬシーンがどんな演技なのか、比較するのを楽しみにしていましたが、
歌舞伎的だったロシアの舞台とは違い、魅せるものの結構アッサリだったような。
私が観たDVDというのは、ボリショイのこちら。
ボリスの死ぬシーンが仰々しく歌舞伎みたいで大好きでした。
これらはいかにもという感じの舞台セットで壮大な作りのオペラだったわけですが、
ウィーンで見たそれは、もっと気楽に観られる感じだったわけです。
ウィーンで見たそれは、もっと気楽に観られる感じだったわけです。
まあ、あんまり長くて重くて暗かったら新しい客は観に来ませんわな。

衣装は、フルラネット(ボリス役)の金色以外はみんな暗い色彩で、やっぱり地味。

しかし、フルラネットはさすがでした。まずもって男前~!!(←すぐ外見に惑わされる。)
65歳くらいにはなっているかと思いますが、さすがの歌声、そして演技力。
野心溢れる暴君というより人間らしい感じのボリスでした。
それにしても、この人この役を一体何年やり続けるんでしょう???
まあ、この役はずっと声を張り上げているわけでもないし、あまり声が出なくなっても
問題なく歌えそうな感じではありますが。

ピーメン役のクルト・リドル。出番が少なくて、一曲歌って引っ込んだような印象です。
もうちょっと見てみたかったような。
動画とか見る限り、昔と全然ビブラートのかけ方が違っているので、声が出なくなって
今のような振れ幅の大きいビブラート(←淡谷のり子みたいな)になったんだろうなーと想像。
全体的には、やっぱり端折り方に違和感を覚えました。
もうちょっとハッキリとしたアリアは残してくれても良かったのに。
しかし、最後のカーテンコールで嬉しいことが。
もちろんウィーンらしく、演者のみなさんは何度も何度も舞台に出てきてくれたのですが、
最後は観客がチラホラとなっても、拍手に応えてフルラネットが一人で出てきてくれました。

そしてこの瞬間!こっち向いてくれたー!!ギャーーー!
周りは結構もう帰っていたので、この瞬間は絶対に私達の方を向いてくれたのです。
だって、私は一眼レフ、サラミ夫はビデオカメラを構えてましたからね。(笑)
立ち上がって必死にカメラを構える東洋人2人組に気づかないはずはありません。

ほぼ同じ瞬間の、サラミ夫のビデオカメラ映像のキャプチャ。
フルラネットは何度も深々とお辞儀するし、とても謙虚な態度で、
聴きに来た人を本当に大切にしてくれるなーと思いました。

一方、オーケストラピットには、一人だけずーっと残って楽譜を見る楽団員の人がいて、
この様子がとても深く印象に残りました。

今日はウィーン最後の夜。次またここに聴きに来られるのはいつだろうかと思いつつ、
最後に大階段を目に焼き付けて帰りました。